グッド・バイは太宰治の最期の小説。既婚者の男が恋人たちと別れるために奮闘する物語。
この小説通りに彼女たちと別れようとする男と、そらを手伝うハメになった面倒見の良いアラサー女性のドラマ。
後輩とランチをしていると別所文代(30)は、田島毛収(29)に店から連れ出されていく。
田島毛は文代の後輩で既婚者でありながら、複数の彼女がいるダメ男。彼女たちと別れることを勧めた文代は、別れるお手伝いをすることに。
妻のフリをする
文代に勧められてグッド・バイを読んだ田島毛は文代の家へ一緒に向かう。
小説通りに、妻役を演じる女性と最初に美容師の愛人と別れるストーリーをそのままマネすることに。
すでに、彼女(美容師)指名で予約を入れていた田島毛。
普通、こんなお願い事は断られる可能性がはるかに高いはずなのに、当然のように引き受けてもらえると思っていた田島毛は文代が断るとガチで凹みモード。
計算されていない凹んだ背中を見て、居てもたってもいられず田島毛の頼みを引き受けてしまう。
まずは2人で妻に見える服選び。
ガチの勝負ワンピを出せない臆病な文代だったが、田島毛に勝負ワンピが見つかり服装は勝負ワンピに決定。
美容室へ乗り込み
美容室へ向かう文代と田島毛。
これから不倫野郎の修羅場に乗り込むのに、少し楽しんでしまっていることに気付いた文代は自己嫌悪してしまう。
美容室を覗いていると、後ろから愛人のりりこ(27)が話しかけてきた。
「女房を連れて来ました。イジってやってください」と文代を妻として紹介し、その場を立ち去ろうとする田島毛。
小説だと、男はその場を立ち去り妻役の女が髪を切るだけで、すんなり別れられたことから、自分もその場を立ち去ってしまう。
りりこは見るからに良い人で、田島毛が結婚していたなんて知らなかった様子で、髪を切ってもらいながら、少し田島毛の話しが出ただけで泣いてしまうりりこ。
りりこは本気で田島毛のことが好きで、不器用すぎる田島毛を支えるつもりでいた。
そもそも、自分を本気で愛している愛人に妻の髪を切らせるなんて田島毛の鬼畜ぶりはハンパない。
田島毛と別れさせるために、「主人は世界一。何があっても味方でいる」と作り話しをすると、りりこが黙ってしまい「そんな人に出会えるよ」と付け加えた。
髪が切り終わると田島毛が迎えに来るが、文代は何も言わずに美容室を後にし、田島毛はりりこに「グッド・バイ」と一言残して、2人は別れることに成功した。
別れたあと
別れた後、田島毛のことを「世界一」なんて言った自分を、また自己嫌悪する文代。
なんの罪悪感も感じていない田島毛に納得がいかない。
しかも、さらに他の彼女とも別れるお手伝いをお願いされる文代は、田島毛のためではなくしょうもない男に騙された女性たちのために一肌脱ぐことに。
彼女たちができるだけ傷つかない別れ方を、バカで危機感のない田島毛の代わりに模索するようだ。
りりこと別れさせる手伝いをした文代は、誰かと本気で向き合って、泣いたり悩んだらしている人の方が人間力あるんだろうなと考える。
思い返してみると、文代はここしばらくの間、人とガッツリ向き合っていなかった。
まとめ
自分の手は汚さず、労せず1人目の彼女と別れることに成功した田島毛。
次の相手は血の気の多いキャバ嬢との対決です。